あの夜、フシが初めて涙を流した場面を思い出すたび、胸のどこかがじんわりと熱くなる。
人でも、獣でも、物でもない“何か”だった存在が、出会いと別れを繰り返し、やがて誰かを想うようになる――。
『不滅のあなたへ』は、ただの物語ではない。
「心を得ていく旅」そのものだ。
だからこそ、原作が「どこまで描かれて、どこで終わったのか」。
アニメは「どこまで到達していて、続きはどこから読めばいいのか」。
その一つひとつが、作品を愛する人にとっては欠かせない“道しるべ”になる。
この記事では、原作25巻の完結までの全体像と、アニメ各シーズンの対応範囲を、
感情の流れに寄り添う形で、丁寧に整理していく。
『不滅のあなたへ』原作漫画はどこまで？【結論：全25巻で完結】
『不滅のあなたへ』の原作漫画は、全25巻で完結しています。
2025年6月、週刊少年マガジン本誌で最終話が掲載され、フシの長い旅路はひとつの幕を閉じました。
最終巻である25巻は、2025年8月12日に発売。
長く続いた「記憶」「痛み」「愛」のテーマが静かに収束していき、物語全体が“生命の継承”へと回帰していきます。
読み終えたあとに残るのは、喪失でもなく、完全な希望でもなく…。
「あぁ、フシの旅を見届けられてよかったな」という、ほのかな余韻だけ。
また、完結したことで
・アニメ派がどこまで追いついているか
・どこから続きを読めばよいか
といった疑問も、より明確に整理できるようになりました。
『不滅のあなたへ』全25巻・巻ごとのストーリー早見ガイド（ネタバレ控えめ）
『不滅のあなたへ』は、ひとつの旅路に見えて、実際には「25の心の成長記録」とも言える構造になっています。
ここではネタバレを避けつつ、各巻がどんな”感情の節目”を描いたのかを簡潔に整理します。
1〜3巻：誕生と喪失の出発点
フシが「何者でもない存在」から「心を宿す存在」へと変わっていく最初の章。
出会いと別れが、生まれたての心に何を刻むのか。物語の基礎となる”喪失の痛み”が描かれます。
4〜6巻：愛することの喜びと痛み
フシの周囲に増えていく”つながり”。
人との結びつきが喜びを生み、そして必ず喪失を連れてくる。
「愛するとは、失うことを恐れることでもある」と作品が静かに語り始める巻です。
7〜12巻：社会の中で、自分が何者であるかを問われる
個人の旅から、より大きな社会へ。
フシは「自分の存在が世界に与える意味」を見つめることになります。
この章は物語全体の中でも、とりわけ”決断”の色が強い部分です。
13〜18巻：過去と未来、記憶と遺志が交錯する
ここでは、フシの旅の中で失われたもの、守れなかったもの、手放したくなかったもの――。
それらがひとつひとつ姿を変えて帰ってくるような展開が続きます。
読者の記憶までも揺さぶる”再会の物語”が中心。
19〜22巻：大きな転換点――フシは「生きる意味」に正面から向き合う
物語後半の核心。
生きるとは何か、守るとは何か、愛とは何を生むのか。
フシ自身がずっと避けてきた”痛みの本質”に触れることで、旅は終わりへ向けて大きく動きます。
23〜25巻（最終章）：受け継がれるものと、旅の終着点
最終章はネタバレを避けつつひとつだけ。
それは“終わり”は必ずしも決別ではないということ。
フシが積み重ねてきた記憶、交わした約束、失った仲間たち――。
そのすべてが25巻で形を変えて返ってきます。
静かで、痛くて、でもどこか優しい締めくくりです。
アニメ『不滅のあなたへ』は原作のどこまで？【Season1〜3を巻数で完全整理】
アニメ『不滅のあなたへ』は、原作の膨大な感情の流れを丁寧にすくい取る構成になっています。
ただし、アニメ派の多くが迷うのが
「どのシーズンが原作のどこまでを描いているのか」というポイント。
ここでは巻数ベース・エピソードベースの両面から、分かりやすく整理します。
Season1（2021年放送）：原作1〜6巻あたり
フシの誕生から、グーグーとの日々、そして島編まで。
「フシが初めて大切なものを得て、失う」流れが最も鮮烈に描かれるパートです。
アニメ1期だけを見た人は、この時点で“喪失の痛み”の本質にまだ触れ切れていません。
原作では6巻以降、さらに深い心の変化が待っています。
Season2（2022年〜2023年）：原作7〜12巻あたり（※116話前後まで）
市民国〜レンリル編へと物語は一気にスケールアップ。
フシが「個人」から「社会」へと視線を広げるターニングポイント。
アニメ2期はドラマ性が濃く、原作でも特に評価の高い章に踏み込んでいます。
終盤には、フシが「世界の中の自分」を意識する重要な決断が描かれます。
Season3（2025年放送中）：原作最終章へ突入
2025年10月放送開始予定の3期は、原作における後半〜最終章（23〜25巻付近）を扱うと見られています。
現世編・来世編が軸となり、フシの旅が“終わり”へと向かう感情のクライマックス。
2025年時点で原作がすでに完結しているため、アニメ3期は原作のラストに向けてかなり正確に描かれる見込みが高いです。
アニメから原作の続きを読むなら何巻から？【一発でわかる対応表】
アニメ派がもっとも気になるのが
「続きは原作のどこから読めるのか？」という点。
以下に、シーズンごとの明確な対応表を示します。
Season1（1期）視聴後 → 原作6巻から
アニメ1期は原作6巻あたりまでを描写。
特に島編以降、フシの“精神的成長”が一段深くなるので、6巻から読むと自然に物語の流れに乗れます。
Season2（2期）視聴後 → 原作12巻から
2期は116話前後（7〜12巻あたり）まで進行済み。
ここから先は、フシが自分の存在意義を問い直す重要な章が続きます。
物語のスケールとテーマが一気に膨らむのが12巻以降です。
Season3（3期）視聴中・視聴後 → 原作23巻以降（最終章）
3期は原作の後半〜最終章に該当するため、原作で言う23巻あたりが基点となります。
ただし、アニメ3期の放送進行に合わせ、具体的な開始巻を随時更新するのが最適です。
まとめ：アニメ続き対応表（保存用）
| アニメ | 続きは何巻から？ |
|---|---|
| Season1（1期） | 6巻から |
| Season2（2期） | 12巻から |
| Season3（3期） | 23巻前後（最終章） |
検索ユーザーが迷いやすい「どこから読む？」がこの表で一目で解決できます。
『不滅のあなたへ』は25巻で本当に完結？続編の可能性と作者コメント
原作は25巻で完結――。
これは事実として公式から発表されていますが、ファンの間では
「本当に終わりなの？ 続きはないの？」
という声が多く聞かれます。
そこでここでは、公式コメントと作品テーマの両面から、続編の可能性を丁寧に読み解きます。
作者・大今良時の完結コメント
大今良時は最終章のタイミングで、インタビューおよび告知で
「フシの物語としてはここで一区切り」
と語っています。
“物語を無理に伸ばすのではなく、フシという存在が辿りつくべき地点まで描いた”
というニュアンスが強く、作者自身の中でも明確な終着点が用意されたことが伝わります。
25巻で物語が切れ味よく閉じた理由
『不滅のあなたへ』の核心テーマは、
「記憶」「痛み」「愛の継承」です。
物語が進むほど、フシは“得てきたものを受け継ぐ側”になっていきます。
その象徴として、最終章では
・出会いの総括
・喪失の整理
・生きる理由の再定義
といったテーマが、美しい余韻とともに静かに収束します。
続編の可能性は？
作者コメントの方向性から見ても、直接的な続編の可能性は高くありません。
ただし物語には“後を託す余白”が多く残されており、
世界観の広がり・設定の深さを考えると、外伝・スピンオフの形で描かれる可能性は十分あります。
特に、読者から人気の高いキャラクターや過去章は、
“もう一度会いたい”と思わせる余韻を残したまま終わるため、
作品世界はまだ豊かに広がっていると言えるでしょう。
「終わった」と「物語が死んだ」は違う
フシの旅は25巻で終わった。
でもその記憶は、読者の中で“生き続ける”。
『不滅のあなたへ』というタイトルの本当の意味は、
完結したときにようやく輪郭が見えてきます。
不滅なのは、フシではなく――読者の心に残る“感情”なのかもしれません。
ファンが語る『不滅のあなたへ』の核心テーマ
『不滅のあなたへ』は、ジャンルとしてはファンタジーでありながら、
読む人の“人生観”に静かに触れてくる作品です。
ここでは、物語全体を通して繰り返し提示される３つのテーマを、
桐島 灯の視点から丁寧に紐解きます。
「記憶」とは何か――心に宿る“生き続けるもの”
フシは、出会った人々の姿を“継承”する能力を持っています。
これは単なる設定ではなく、「記憶とは何か？」を描くための象徴的な仕組みです。
フシが姿を変えるとき、その背後には必ず“誰かの生きた証”がある。
それはまるで、私たちが大切な人を忘れないように
形のない記憶を抱きしめ続ける行為に近い。
『不滅のあなたへ』が刺さるのは、
「記憶は、愛した時間そのものだ」というメッセージが物語を貫いているからです。
「痛み」はなぜ必要なのか――喪失と向き合う勇気
この作品は、決して優しい物語だけではありません。
むしろ、痛みや喪失の深さが読者の心を揺さぶる大きな理由です。
フシは何度も出会い、そして失います。
そのたびに「二度と誰も失いたくない」と願いながら、
それでも誰かに手を伸ばしてしまう。
“痛みがあるからこそ、人は誰かを大切にできる”。
物語はその残酷さと優しさを、避けずにまっすぐ描き続けます。
「愛」の形――つながりが生む“変わり続ける理由”
愛は、人を変えます。
フシは最初、ただの球体でした。表情も心も持たない存在。
しかし、出会った人々の温もり、言葉、涙、笑顔――
それらに触れるたび、フシは少しずつ「生きる理由」を見つけていく。
愛とは“誰かを想う気持ち”ではなく、
“誰かのために変わっていきたいと思う力”なのだと、作品は伝えています。
不滅のあなたへを今から読む人へ：どの巻からでも心を掴む“感情導線”
『不滅のあなたへ』は、巻ごとにテーマが明確で、
どの巻を開いても“感情の核”に触れられる作品です。
しかし、物語の構成が壮大なため、初見の読者はときに迷います。
「どこから読めば良い？」「途中から入っても大丈夫？」
ここでは、迷わず入り込める“感情導線”を提示します。
まずは1〜3巻：物語の“心臓”に触れるために
1〜3巻は、フシという存在の根幹を理解するための基盤。
読者が「この物語は何を描こうとしているのか」を自然に掴めます。
特に1巻の冒頭数話は、読者の心を一気に物語へ引き寄せる名シーンの連続です。
中盤だけ読みたい人は7〜12巻：ドラマ性と成長のピーク
中盤は、キャラクター同士の関係性が最も濃密で、“泣ける”“考えさせられる”要素が凝縮。
社会的なテーマも深く、物語としての完成度が非常に高い区間です。
アニメ2期がこの部分を高評価で終えたのも納得。
心を揺さぶる再会劇を味わいたいなら13〜18巻
過去の記憶との再会、約束の回収、心の連続性――。
読者の“個人的な思い出”さえ呼び起こすほどの感情的な深みがあります。
フシの旅の意味がもっとも強く胸に刺さる巻群。
物語の答えを求める人は19〜25巻：終わりの優しさへ
後半〜最終章は、フシの“存在理由”が明確になるパート。
喪失・再生・記憶の継承――作品全体のテーマが美しいバランスで収束していきます。
25巻を読み終えた後には、静かな息を吐きたくなるような余韻が残るはずです。
結論：どこから読んでも「心に触れる」。でも、1巻から読むと“旅の全て”を感じられる
『不滅のあなたへ』は、感情的な密度が高く、どの巻にも響く瞬間があります。
しかし、フシの「心が生まれていくプロセス」を感じたいなら、やはり1巻から読むのが最もおすすめ。
出会いの温度、別れの痛み、旅の意味――それが一つの線になる瞬間が、何度も訪れます。
まとめ：フシの旅の終わりは、あなたの感情の始まり
25巻で幕を閉じた『不滅のあなたへ』。
けれど、ページを閉じても物語は終わりません。
むしろ、読者ひとりひとりの“心の中”で、静かにその旅は続いていきます。
フシが得てきた記憶。
フシが失ってきた痛み。
フシが愛した人たちの温度。
それらすべてが、物語を読み終えたあなたの中で、かすかに灯り続ける。
「不滅」とは、フシのことであり、そして――読者自身の感情のことでもある。
原作を読んだ人も、アニメから入った人も、これから出会う人も。
そのどれもが正しい“旅の形”です。
大切なのは、この作品を通じてあなたが何を感じ、何を思い、何を受け取るのか。
そしてその瞬間こそが、
フシの物語が次の世代へ受け継がれる“本当の不滅”なのだと思います。
よくある質問（FAQ）
Q1：原作『不滅のあなたへ』は完結していますか？
はい。全25巻で完結しており、週刊少年マガジンでは2025年6月に最終話が掲載されました。
Q2：アニメは原作のどこまで進んでいますか？
Season1は6巻付近、Season2は12巻付近、Season3は原作終盤（23〜25巻あたり）に入る見込みです。
Q3：アニメの続きは何巻から読めばいいですか？
・1期の続き → 6巻から
・2期の続き → 12巻から
・3期の続き → 23巻前後（最終章）
Q4：途中の巻だけ読んでも楽しめますか？
はい。テーマが巻ごとに明確なため、どの巻から読んでも“感情の核”に触れることができます。
ただしフシの心の成長の流れを感じたいなら、1巻から読むのが最適です。
Q5：続編やスピンオフの可能性はありますか？
本編の“続き”の可能性は低いですが、世界観が広いためスピンオフの可能性は十分あります。
情報ソース一覧
本記事の内容は、以下の信頼性の高いメディアおよび一次情報をもとに作成しています。
- 講談社 マガジンポケット公式：https://pocket.shonenmagazine.com/
- コミックナタリー：https://natalie.mu/comic
- アニメ！アニメ！：https://animeanime.jp/
- NHK アニメ公式：https://www.nhk.jp/p/animeto-your-eternity/
執筆・構成：桐島 灯（きりしま・あかり）｜アニメ文化ジャーナリスト・ストーリーテラー
公開方針：「作品を“理解する”ではなく、“感じる”評論」をテーマに、感情と物語を橋渡しする批評記事として執筆しています。
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